昔の日本の建築において、最も大事だったのが、風通しでした。
日本では高温多湿にも関わらず、湿気を嫌う木材や、紙や藁で家が
造られていました。
夏には、当然エアコンはないため、住む人は風と日陰を頼りにしていました。
そのため、大きな空間をもつ室内ができ、
そして縁側を通して外部の環境とつながっていたのです。
しかし現代では、室内にあるたくさんの家具のために、
また洋風の建築の要素として、そしてエアコンの効率をよくするために
室内に壁が多くつくられるようになりました。
そのため、風通しは悪くなり、一年を通じてエアコンを使うようにもなり、
窓を閉めることも多くなりました。
つまり、外からの風を取り込むということが
現在では極端に減ってきたのです。
そういった影響から、
シックハウス症候群に繋がっていくこともあります。
今では、エアコンに頼る生活は当たり前になっていますが
それはそもそも良いことなのでしょうか。
高度成長以来、古いものや自然は徐々に壊され続けてきたとも言えます。
また、人々は風や光といった自然のものに敬意を払うことなく、
エアコンなどの人工的につくられた環境を
ひたすらに追い求めてきました。
その結果、住宅はどんどん高額になっていきました。
その問題と、どう向き合っていけばよいのでしょうか。
もともと人間は自然とともに生きてきました。
自然をうまく取り入れること、
風や光や太陽などが大事な意味をもつということを
少しずつでも認識しはじめたことは
とても大きな進歩です。
まず、自然の力を認識すること。
それが、長い目で見るとローコストに
繋がっていくということです。