家を購入する場合、ほとんどの人が住宅ローンを利用します。
しかし、借入金額や返済額にばかり気をとられてしまい、
意外にも仕組みをきちんと説明できる人は少ないのではないでしょうか?
住宅ローンについては自動的に担当者にお任せ、といったようでは
後々後悔することになるかもしれません。
住宅ローンは、多額の借金です。
借入である以上、借主としては仕組みとリスクを認識しておく必要があります。
注文住宅は何千万円もする買い物であるため、
銀行や信用金庫などの金融機関から家の代金を借りて購入することが普通です。
不動産会社から家を購入し、借入金の返済は金融機関にしていきます。
お金を借りたので、金利を付けて返済していく、これが住宅ローンの仕組みです。
借入の際は現実的に返済可能な金額を見極めることが大切になってきます。
自分で借入額をコントロールできるようにしておきましょう。
住宅ローン金利は、2017年6月時点で変動金利が0.6%程度、全期間固定であるフラット35でも1.5%前後です。
金利だけ見ると、そう大きな数字ではないように思えますが、借入額が大きく、
また返済期間が長期に渡るため、金利による総返済額の差は大きくなります。
仮に3,000万円を35年で返済する場合、
金利が0.5%異なると総返済額にどれくらいの差が生まれるのでしょう。
●金利1%で、毎月の返済額が8.5 万円の場合、総返済額は3,557 万円
●金利0.5%で毎月の返済額が7.8 万円だと、総返済額は3,271 万円
以上のように、0.5%ほどの小さな金利差でも、総返済額でみると大きな違いが出てきます。
ですが、金利が低いのが必ずしもベストとはかぎりません。
住宅ローン金利は、借りる金融機関ごとに異なります。
とはいえ、一応の基準はあります。
長期金利であれば、10年新発国債の利回り、
変動金利であれば優良企業への貸し出し金利である短期プライムレートがベースになっています。
国債の金利推移はネットなどで調べることができます。
短期プライムレートも日本銀行のサイト上で推移が公表されています。
住宅購入を考えているなら、直近3年程度の金利動向は把握しておきたいところです。
それから、金利は住宅ローンの申込者ごとにも変わります。
例えば勤め先が大手企業で年収も高いという人ならば、返済の確実性が高いと判断されるため、
低い金利で借り入れできる可能性が高いのです。
逆に、自営業でいつ倒産するかわからないような人の場合、金利が高くなる可能性があります。
金利は社会的信用に反比例するものだと覚えておくといいでしょう。
変動金利について見てみましょう。
単純に金利の低さだけに着目するのならば変動金利が一番だと思われますが、
変動金利の金利が低い理由は、その時の経済状況に合わせて金利が変わるからです。
世間の金利が上昇すれば住宅ローンの金利も上げることが可能なため、
変動金利は多少低い金利設定ができるというわけなのです。
金利変動のリスクを借りる側が負う、と考えてください。その代わり、金利が低いという利点があるということです。
その考え方からいうと、金利変動のリスクを負えない借主は変動金利が向かないということになります。
変動金利を選ぶ場合は、金利上昇に耐えきれるだけの家計の余裕があるか検討してみましょう。
次に、固定金利を見てみます。
固定金利の最大の利点は、返済リスクを最小限に抑えたところにあります。
固定金利は変動金利に比べて金利が高く、将来低くなる見込みもありません。
一見、得なのかという疑問が生まれますが、何十年という住宅ローンの返済期間を考えると、
金利が変わらないのは非常に大きな安心なのです。
総返済額、毎月の返済額が変わらないので、予期せぬ金利上昇で返済計画が狂うこともありません。
かつては住宅ローン金利が上がり続ける時代がありました。
今後も、そのようなことがないとは言い切れないため、固定金利の「安心」というメリットは大きいです。
それから、変動金利と全期間固定金利の中間のような金利が「○年間固定金利」です。
一般的には2年~10年程度の期間の金利が固定化され、
それ以後は再度固定金利を選んだり、変動金利へ変更したりすることが可能です。
これから先の金利がどうなるか読めないときには、心強い金利選択だといえるでしょう。
また、この金利だと数年~10年程度の金利選択をすることになるので、決断しやすいです。
基本的なことをお伝えしましたが、世間では自動的に
家を購入=住宅ローンを組む、という図式が常識になっていて、
ローンを組むことの怖さや注意点を見過ごしてしまうケースもあるようです。
借り入れ時は共働きが前提だったけれど、子育てのために退職を選ぶ人も存在します。
子育てしながら両親が働くには職場の理解、夫婦の協力、保育所や病後保育の確保など、
多くの環境をと整える必要が出てきます。
夫婦どちらか一方の努力だけではままならないため、実現できるかは未知数なのです。
それから、近年社会問題となっている介護離職といった心配もありますよね。
長い返済期間、途中で何が起こるかわからないため、現在の世帯収入を基準に考えず、
もし将来○○が起こったら……という視点を忘れないようにしましょう。
ですが、こういった将来起こりうる収入の誤算に関しては、実は対策もあります。
それは早めに金融機関に相談することです。
自分勝手な退職ではなく、事情があることを相談してみることです。
現実的に返済できる額が少なくなり毎月返済額は減るが、返済は継続して行うことなどをしっかり説明すれば、
毎月返額の減額に応じてもらえる可能性があります。
マイホーム購入というと夢心地になりがちですが、
現実との折り合いをつけ、住宅ローンを上手に利用していきましょう。